第5回 第10話
二人だけの運動会(後編)
1974年11月19日放映
脚本:広瀬浜吉
作画監督:?
美術:?
演出:?
 
主な登場キャラクター
カリメロ
プリシラ
ピーター
デッパ
ブータ
パパ
ママ
フクロウ先生
校長先生
パペ
パペ夫人
町長
 
あらすじ
リレーはピーターが勝ち、表彰台でメダルをかけられた。デッパとブータも大喜びしたが、興奮したためか、ブータはバンザイとともにポケットの中のものを思わず投げてしまう。しかもその中にはあの誓約書があり、それが校長先生に見つかってしまった。不正行為を知った校長先生は激怒し、ピーターのメダルを剥奪する。だがピーターはカリメロを脅かしたことを認めず、カリメロも態度をはっきりさせない。

本当のことを言えず、みんなから疑われるだけのカリメロは、1人で川へ向かった。「誰も信じてくれないんだ」とつぶやいていると、そこへママがやって来た。ママはカリメロにやさしく話しかける。
「大きく目をあけてママの目を見て。カリメロの目の中にママの姿が映るのよ。もしおまえがうそをついていたら、ママの姿はゆがんでしわくちゃになってしまうんだわ」。
カリメロはママの目を見つめるが、泣き出してしまう。すると、流れ落ちた涙の中に、ママの姿が綺麗に映った。
「カリメロありがとう」
ママはカリメロを信じてくれたのだ。

一方ピーターは、メダルを取り返そうと、こっそりと校長室へ侵入した。夜に優勝パーティーが開かれるため、絶対メダルが必要なのだ。デッパとブータにメダルを探させていたが、メダルを見つけたそのとき、フクロウ先生が校長室に入ってきた。ピーターたちの悪事はすべてばれてしまった。

プリシラと学校に戻ったカリメロは、2人だけで表彰式を行なう。表彰台に立ち、プリシラから花のレイをかけてもらったカリメロは大喜び。リレーのコースを走り回るのであった。
 
感想
第1回以来の前後編構成。当時放映されたのは11月でちょっと時期がずれている気はするが、運動会を題材とした話である。ところが、カリメロが競技で活躍するというほのぼのとしたものではなく、活躍しないように脅かされるというドロドロとしたストーリーが展開される。
わざと負けないと父親の仕事をなくしてしまうという脅しは完全に脅迫で、とても子供向けのアニメーションとは思えない。表彰式でメダルをかけるのがパペの役割であったためピーターは絶対負けられないという事情があったにせよ、誓約書にサインまでさせるのは念が入っている。カリメロは誰にも相談できずに悩み続けるのだが、こういった葛藤を描いているところもこのアニメの特徴だといえる。

川のほとりでママがカリメロの真意を確かめるシーンは、カリメロの純真さ、ママの優しさが感じられて印象的である。「誰も信じてくれない」→「ママに慰められる」という流れは、後の#42にも登場する。

ピーターは前回(#8)の「大金庫どろぼう」でテストを盗み出すために学校に忍び込んだばかりだが、懲りずに再び忍び込むのはどうしたものか。この悪童ぶりにはあきれてしまう。

最後はプリシラと2人だけの表彰式でハッピーエンドになるのだが、サブタイトルの「二人だけの運動会」はここからきているのであろう。ただ正確には「二人だけの表彰式」となるはずだが、細かいことはいうべきではないか。
 
メモ
・ピーターたちが窓からカリメロの部屋に侵入するが、確かカリメロの部屋は2階にあったはずだが・・・?

・誓約書の文面は映像でも確認できるのだが、そこに書かれた文字は日本語でもアルファベットでもなく、我々には判読不能な文字である。きっとカリメロの世界ではこの文字が使われているのだろう。もっとも、学校の入口にはアルファベットで「SCHOOL」と掲げられているのだが・・・。

・カリメロがさせられたサインは拇印ではなく、なんと足に朱肉を付けて押したもの。カリメロの世界では、足で押印するのが普通なのだろうか?

・カリメロとピーターが出場したのは紅白対抗リレー。ということは複数のランナーが走ったはずだが、表彰されてメダルをもらったのはアンカーのピーターだけ。おそらく代表してもらったのだろうが、個人競技のように描かれてしまっている気もする。
 

PreviousNext
HomeBack